Index

1. 総会運営
2. 理事会の運営と役員の選任
3. 大規模修繕工事
4. 管理業務等の委託について

総会運営

敷地内(1階)のブロック塀の安全面を考慮し、2年前の総会で、スリット入り鋼板製のフェンスに全面取替を決議した。尚、コロナ禍のため説明会は実施せず総会も出席者を絞って行った。
しかし取替え直後より1階住人の一部から、スリット入りではプライバシーが守られないとの要望があり、昨年の理事会の判断で特に要望の強い公道面側のフェンスをスリット無しに昨年取替えた。また1階の他の住人からも、マンション内の他の住民が通行する場所からのプライバシーが守られないなどの要望が続いている。
今期理事長としての対応に困っている。

総会前の合意形成の準備が不足していたのが原因と考えられます。コロナ禍の影響があったとはいえ、掲示や回覧などで取り替えるフェンスの仕様や写真など情報を周知するべきです。昨年に理事会判断で一部をスリットなしに取り替えたのも配慮不足です。
今後の進め方のあくまで一案ですが、1階の住人の希望内容や実施の場合の予想費用などを示したうえで、まずはアンケート調査をしたらどうでしょうか。
なおアンケート結果のみでスリット無しの全面取替え要否を理事会で決めるのではなく、審議内容を公開したうえで説明会も開いて最終的には総会で決める必要があります。

高齢者を中心にエントランスドアの自動化要望が高いので希望者を中心に要望書をまとめ理事会に提案したが却下された。また、管理規約に定める「組合員の総会招集権」により臨時総会を開催してはどうかとの回答もあったことから、その後規約に定める手続きにより、通常総会と同日で通常総会の前に臨時総会を開催し「エントランスドアの自動化」を可決した。
しかし、臨時総会に引き続いて開催された通常総会における今年度予算案には「エントランスドアの自動化」が織り込まれずに可決された。
今後どのように対応したらよいか?

規約に定められた手続きによる提案者である組合員が招集した臨時総会と通常総会の二つの総会において、提案者らと理事会の意思疎通ができていない事と組合員の無関心から生じた事態と考えられます。
組合員の招集による臨時総会議案可決を相談者側が予想していたのであれば定例総会議案書内容や、臨時総会と通常総会の開催タイミングをずらすなど十分に調整しておくべきです。
一般組合員も議案書内容を十分に理解していなかったと考えられます。
今後の手続きとして、もう一度臨時総会を開いて「エントランスドアの自動化」と修繕積立金の取り崩しを含めた予算案を決議する必要があります。
管理組合内で対立することなく、意思疎通を十分に行って対応することが望まれます。

理事会の運営と役員の選任

理事会運営について、高齢化等で成り手が減少し運営に影響が出そうで悩んでいる。役員数は8名、2年任期で半数改選(輪番)。規約では4分の3以上の出席が必要とあり、 理事会開催を更に難しくしている要因だと思うがどうしたら良いか?また、清掃活動について、現在は月1回住民で行っているが高齢化等で続けられるかが心配。理事の出席や清掃活動に、親族等の代理の方に参加して貰う事は可能かどうか?

マンション標準管理規約では、理事会開催には半数以上の出席としています。現在の4分の3以上の出席は条件が厳しいので規約の変更を検討してみてはどうでしょう。代理参加については、清掃活動においては親族等の方に参加して貰う事に問題はありません。 ただし理事会は本人の出席が原則で、代理出席は認められません。役員資格を配偶者や親族に広げる規約変更を検討してみてはどうでしょう。

管理組合の理事は、慣例で輪番制により選任しているが、ある組合員から理事会に来期の理事に立候補したいとの申し入れがあった。輪番制を優先したいので立候補を拒否できるのか?

暴力団員や成人後見人など意思能力に問題がある場合を除き、組合員の立候補を制限することは、人格権を毀損することになるとした判例があります。理由もなく理事候補を制限することは法的に問題があると考えられます。立候補の理由などを聞いて、輪番の役員予定者も含めて理事会で話し合い、検討ください。

役員のなり手不足のため、管理規約に役員資格として賃借人を含めて規定している。しかし、一部の組合員からこの規定は法律に反しているのではないかと主張している。何の法律に反しているのでしょうか?

管理組合の役員資格を区分所有者に限定する法律はありませんので、法律に反した規定ではありません。全国のマンションの現状として、組合員の高齢化が進み役員のなり手不足が深刻化していることから、その対策として、役員資格を組合員と同居する配偶者や親族に拡大していることもあります。又、賃貸化が進んだマンションでは管理組合の実情に合わせて賃借人にも拡大しているケースもあります。参考までに、国土交通省では役員の選任について「必要に応じて、マンション管理に係る専門知識を有する外部の専門家の選任も可能とする」とコメントしています。

区分所有者が居住せずに賃貸している部屋が多くなっている。賃借人にも役員を務めてもらうためにはどうすればよいか?           

賃借人にも役員ができるように規約改正をする必要があります。マンション標準管理規約では、役員の資格を「組合員のうちから選任し」としていますので、「組合員及び占有者のうちから選任し」に規約を改正することで可能となります。

理事会の円滑な運営のために外部専門家のアドバイスを受けたいと考えているが、どのように進めればよいのか?

外部専門家との契約が必要となり、契約書には、依頼する業務内容や報酬などの費用を明記することになります。発生する費用は予算に組み入れなければならず、契約の内容も含めて総会に議案書を上程する必要があります。理事会だけでなく、総会においても理解を得なければならないことから、ある程度の期間を見込んで計画的に進める必要があります。まずは、行政の相談窓口を利用してアドバイザー派遣制度など不明な点を相談してみることも良いでしょう。また、兵庫県マンション管理士会では、当会事務所で無料相談会を開催しており、理事会への無料出張相談も実施しております。

大規模修繕工事

14期に1回目の大規模修繕工事を実施、長期修繕計画では第27期に2回目の大規模修繕の予定、妥当か?

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは12~15年周期、マンション大規模修繕工事に関する実態調査では概ね1回目は築13~16年前後、2回目は築26~33年前後となっていますが、その時の建物の状態によります。劣化診断を実施し判断するのが望ましいでしょう。

長期修繕計画では22期に機械式立体駐車場(屋内)を更新する計画になっている、妥当か?

屋内の施設なので耐用年数は長いと考えられますが、日常のメンテナンスに留意し長寿命化を目指し、劣化状況を見て判断してはどうでしょう。更新時期はメーカー系のメンテナンス会社からの提案なので、独立系のメンテナンス会社にも劣化診断を依頼して参考にするのも有効と考えられます。又、部品供給の状況も確認しながら判断してください。

管理業務等の委託

2年前に自主管理から管理会社への全面委託管理に切り替えたが、当該管理会社から受託管理を辞退したい旨の申し出を受けた。当該管理会社の新たな親会社となった会社の経営方針を受けて決定されたとの事。
新たな管理業者への業務引継ぎのための暫定的契約延長は可としているが、早急に新たな管理会社を探す必要がある。
2年前に初めて管理会社を起用する際に大変苦労をしたが、今回新たに管理会社を探すにはどうすればよいのか?

管理会社にはマンション管理適正化法により国土交通省のへ登録が義務付けられ、現在約2,800社が登録されています。
その内の約350社がマンション管理業協会正会員です。
マンション管理業協会の会員企業が優良企業であると判断できるものではありませんが、協会のホームページで各社の情報が公開され、確認することができます。
その中から、マンションの近傍に本社、支店、営業所がある管理会社を調べることもできます。
又、同協会はマンションの管理適正化法律規定する指定法人であり、同法に規定する保証業務を行っています。
候補とした会社から見積書を取得し比較し、ヒアリングを実施するなどしっかり調査・検討した後に選定することが重要です。

臨時総会で大規模修繕工事の実施が決議された。相見積をせず管理会社に発注しているので異議を申し立てたが、管理会社は相見積を行ったとして取り上げてくれない。
また、管理会社が実施した相見積の参加業者や情報を教えてくれない。不適切ではないか?

管理会社に工事を発注した場合は、管理会社が元請けとなって管理会社の関連会社、協力業者の中から下請け会社を決めることが多いようですが、管理組合が相見積を行ったとは言えません。
管理組合が主体となって複数の業者から見積を取り、検討する事が望まれます。その結果として管理会社に発注することもあります。
元請けである管理会社は下請け業者の仕事に対して責任を持つ必要がありますが、管理会社と下請け業者との関係は管理組合からすると当事者ではなく第三者になりますので、情報の開示を求めることは難しいでしょう。